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ジャズがおしゃれではない理由

おしゃれとは見出すことと見つけたり

以前、おしゃれなジャズをブランドに喩えてご紹介を試みました。読み返してみて、我ながらセンスのなさに絶望します。

それでも、一般的なジャズの「おしゃれ」なイメージと、私自身が日頃親しんでいるジャズの実態との乖離は、あのようなかたちで言葉にしてみてよかったと感じています。…間違った選曲で「おしゃれぶる」自分への訓戒には、なるとおもいますので。。

決してこちら

を、「おしゃれ」とは言うまい。…そういう感性を否定するわけではなくって、こんなに「隙のない」音楽をおしゃれと言い切れるほど私自身が洗練されていないという、以前全身ヴィトンで固めたお医者さまとお会いしたときに抱いた劣等感を、思い出します。

私にとっておしゃれなものが、他の人にとってもそうとは限らない。自分の傍らにあって「おしゃれ足り得るもの」を、誤解なく伝える努力をすること。

どんな商品レビューも結局は自己紹介に過ぎないと、自覚すること。ブログというメディアそのものが。

おしゃれではないジャズをご紹介します

逆説的で申し訳ありません。ここまでの文脈に倣って言うならば、「誰にとってもおしゃれにはなり得ないであろうジャズ」のご紹介をここでさせていただきます。

喫茶店とかで不意に流れてきた音楽に、「あ、すてき♪」とは、まず心ときめかない名盤の代表を挙げてみようという試みです。

加えて、私自身が愛聴しているものに対象を限定します。

こちら、エリック・ドルフィー(1928-1964)というサックス等プレイヤーのアルバムです。多くのドルフィー・ファンは、「アウト・トゥ・ランチ」という作品を代表作に挙げるかと思いますが、ごめんなさい。私にはぴんときません。。

…マイルス・デイヴィスの自叙伝の中でマイルスはドルフィーの演奏を、「誰かが足を踏んづけているみたい」と表現しています。私にとってのイメージは、「ヒキガエル」でしょうか。ぐえっ、という鳴き声です。

アウト・トゥ・ランチは、最後まで聴き通せたことがないのでコメントできませんが、ご紹介したラスト・デイト、そしてもう一枚の愛聴盤「イリノイ・コンサート」で聴けるドルフィーのキャラクターは、ぐえっ、とした感じです。

…全然オススメできている感じがしませんが、「おしゃれではなくてもよいジャズはある」「お気に入りがおしゃれという価値観に囚われる必要はない」という点を、力説したい私がおります。

 

36歳の若さでヨーロッパツアー中に亡くなったエリック・ドルフィー。「ラスト・デイト」は、彼の生涯最後の録音を商品化したものです。このアルバムの最後には、「音楽は終われば空気に溶けてしまう。それを捕まえることは二度とできない」という、ぐえっ、という演奏スタイルとはおよそ似つかわしくない、御本人の鮮明な肉声が収められています。

おしゃれではなくても人にお勧めしたいジャズ

…最近、クルマ関連の情報が気になっていて、「これは女性から意見聞いたのか」とか社長に言われることがあるという記事を目にしました。

「どうすれば女性という、『人口の半分を占めるシェア』に切り込めるのか?」という発想は大切ですし、私も似たところを目指してジャズのご紹介などをしているわけですが、こと、三菱自動車さんのインタビュー記事は参考になりませんでした。ごめんなさい。。

「女性の意見」というものを総括していうことなどそもそもできませんが、もし私が「この新しいデリカのインテリア、どうですか?」と訊かれたとするならば、「本音」より先に「その問いに対する自分自身の態度」がどう見られるかを考えてしまうので、「スクウェアにまとまっていて、使いやすそうですね♪」とか答えます。

畳み掛けて「安っぽく見えたりしませんか?」と問われれば、「いえいえ。あんまりゴテゴテしているよりも、このくらいシンプルな方が好感が持てます♪」とかなんとか。

 

ですので分析的な言い回しや、合理的にものごとの「良さ」を伝えよう等は、考えていません。

何かを選ぶとき、色々と悩んでいるふりをしながら、「で、これって私にコーディネートするとどう?」という1点について、全方位的なシミュレーションを私自身がしておりますから、今回のエリック・ドルフィーについては、「ブルドックを連れてお散歩」する感覚を好まれる方に向けて、一聴の価値ありとお伝えしたいかとおもいます。

おしゃれではないすてきな「ジャズの名盤」のご紹介♪

「サキコロ」です。温かみのあるサックスの音が心地よく、それが風船のように空に舞い上がって…、行こうとするのですがなかなかタイミングが合わないところと、遂に「やった!ぼく飛べたよ!」という無邪気なイカロス(或いはラピュタのパズー)的少年美がポイント高しです。

 

サキコロと同系統の暖色系、マカロンっぽいサックスに私はやられています♪かなりの愛聴盤です。ブルー・ノートにはあまり好きな作品がないのですが、このアルバムだけはいわゆる「ブルー・ノート・ナンバー」も記憶しています。

 

…あまり人に言える趣味ではありませんが、「無人島に持っていくただ1枚のジャズCD」に私はこれを選びます。

とあるジャズ喫茶店に単身お邪魔したとき、こんな場違いな一見客にマスターが色々話しかけてくだすって、「なにかリクエストはありますか?」と訊かれ上記ソウル・ステーションは、、「ない!」とのことでしたので、思わず「本音」でこちらをお願いしてまいました。。

ひたすらに退廃的です。マーラーで言えば交響曲第5番です。

 

…あれっ?いつのまにか「名盤」縛りが外れてしまったやもしれません。ただ、いつ再び入手困難になるか分からないこちら、

などとは異なり、いずれも安定して供給されている商品ですので、拙いレビューまがいの文章で恐縮ですが、ご興味を持っていただけた方は、ご一聴くださったら望外です♪

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