クラシックマニアの人々
なんであれマニアと称する方々を目の前にし、不用意に「一番のオススメを教えてください♪」などと尋ねようものなら、すぐに諍いが始まることは容易に想像がつきます。。
…ところがインテリ臭漂うクラシックマニア界では意外にも、驚くほど高確率で、とある演奏がナンバー・ワンに挙げられることは、クラシックCDベスト・ワン♪という記事でご紹介しました。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー。モノラル録音しか残していないこの指揮者こそが、最も偉大であると、由紀レコオドでお会いした2〜3割の方が憚ることなく言い切るのです。
気になって調べてみると、私が最初「全然眠くならない!」と感動したトスカニーニとは真逆の演奏スタイルで、人気を二分したと書かれています。
眠くなるのかな〜と訝しがりつつも、ベスト・ワンであるバイロイトの第九はかなり早い時期に入手し(由紀レコオドではなく、確か地元のお店で購入しました。。トスカニーニの真逆と聞いていたので、ママには相談し辛かったのです…)、フィナーレの異様な盛り上がりにびっくりして、すぐにファンになったことを覚えています。
盤起こしの謎
フルトヴェングラーのCDは、今も元気に新作が発売され続けています。…これが、コンサートを聴衆が録音した海賊盤であればまだ分かるのですが、1954年に亡くなった演奏家の新しい音源が、そうそう見つかるはずがありません。
ところが、ことバイロイトの第九に限っても、2011年時点でこれだけのCDの音質比較が行われています。
※文字化けする場合、テキストエンコーディングは「日本語(EUC)」で御覧ください。
(2019.4.13追記)Yahoo!ジオシティーズが本年3月30日をもってサービスを終了したことに伴い、本ページはネットの海から消滅してしまいました。。あまりにも悲しくて、わたしはサイトの全ページを私的にダウンロードしております。できうることならば、権利者の方と連絡を取り、データをすべてお渡しし、適切な場所で再度公開していただきたいと考えておりますし、もしその作業をお任せいただけるならば、それをしたいともおもっております。
実に26種類!この中には、版権元であるEMIからの再発盤も含まれてはいますが、それでも個々に音質の違いが認められるというのですからこれはもう、少しでもいい音で聴きたい!というよりは、音が悪いのは分かっているので、その中で夢を見たい!みたいな、執念を超えた憧憬が、マニアの方々を駆り立てているのではないかと、私などは感じております。
…多分、ロマンなんでしょうね〜。ロマン。
また、MYTHOSとかGRANDSLAMとかOTAKENなど、聞き慣れない発売元のCDがありますが、これらは盤起こしと申しまして、状態のよいLPレコードを慎重に再生し、録音した音をCDに記録するという手法で作られたものだそうです。
最近はロックやポップスでも、重量盤LPなどと銘打って発売されるケースがあるようです。…なんとも、私には違いが分からないのですが、レコードの音の方がCDよりもよいそうで、これが古い録音の場合ですと、劣化したマスターテープよりも、状態のよかったマスターテープから作られたレコードの方が音がよい、という理屈らしく。。
フルトヴェングラー再び
トスカニーニでクラシックを聴く楽しみを覚えた私ですが、フルトヴェングラーを聴き始めると、多くの方が認めるその魅力にやはり取り憑かれてしまいました。
フルトヴェングラーは、特にベートーヴェン、ワーグナー、ブラームスといったドイツの作曲家の演奏が素晴らしいと思います。特に私が好きなのは、
- ベートーヴェン交響曲第7番(1943年ベルリン・フィル&1950年ウィーン・フィル)
- ベートーヴェン交響曲第9番(1951年バイロイトの第九)
- ブラームス交響曲第1番(1952年ベルリン・フィル)
です。有名なところでは、ベートーヴェン交響曲第3番の「ウラニアのエロイカ」などと呼ばれる演奏もあるのですが、この曲が私にはまだ理解できていないので、割愛させていただきました。
…こんなYoutubeチャンネルを、作りました。^^;
【人類フルトヴェングラー計画】
今「時代」が来ているマーラーは、フルトヴェングラーが活躍した時代では、ほとんど演奏されていなかったようです。トスカニーニも同様にマーラーは取り上げていません。(むしろ指揮者として時代の被るトスカニーニは、「あのマーラーのやつ!」と、アメリカで指揮活動をしていた憧れの先輩マーラーの凋落ぶりに失望し、批判したという逸話もあるそうです)
現代のフルトヴェングラーを探して
上記に挙げました3曲はいずれも人気曲であり、現代の技術で録音され、ノイズなどとは無縁な演奏が数多発売されています。…にも関わらず、フルトヴェングラー以上にわくわくする演奏に巡り会えていない、という不幸があります。
それでも!あえて!フルトヴェングラーに匹敵するステレオ録音の演奏をご紹介しようというのが、本記事の主旨です。あと付けみたいになってしまい、申し訳ありません。。
ベートーヴェン交響曲7番:カルロス・クライバー
フルトヴェングラーのベト7は、第2楽章の春の日差しの中をお散歩するような穏やかさと、すごく元気が出る第4楽章の落差が大きく、その両方が魅力なのですが、こちらカルロス・クライバー版は、元気が出る部分でフルトヴェングラーを超え、お散歩する心地よさでは及ばない、という感じの演奏です。
落ち込んだり体調が悪かったり、でもなんとかしなければならないときに「私、頑張れ!」と、この演奏を聴きます。
ベートーヴェン交響曲第9番:クラウス・テンシュテット
(イメージなし)
オススメしたいテンシュテットのベト9は、残念ながら海賊盤みたいです。。アマゾンでの取り扱いもなく、レビューもありません。(アマゾンにあるテンシュテットのベト9は1985年版ですが、私が愛聴しているのは1991年版なのです)
最初聴いたときにはまったく期待していなかったのですが、最初の音の出だしから、「えっ?これ、名演になってしまう予感?」という、異様な雰囲気が漂い、最後まで聴いたらほんとうに名演だった!という、素敵な音楽体験でした♪
Youtubeで見つかりましたので、ご視聴ください♪
【クラウス・テンシュテット&LPO:ベートヴェン交響曲第9番(1991)】
(2019.4.13追記)視聴できなくなってしまったようです。。
…ただ、贅沢を覚えるというのはこういうことかと思うのですが、モノラルの優しい音に心癒される私もおりまして、なまじ鮮明なステレオでここまで燃え上がる演奏は、ちょっと疲れます。。
ブラームス交響曲第1番:エドゥアルド・ファン・ベイヌム
ベイヌムはドビュッシーをご紹介しておりますが、こちらブラ1と、それからシベリウスもものすごくかっこよくてお勧めです!
ちなみにフルトヴェングラーのブラ1は、共に1952年のウィーン・フィル版とベルリン・フィル版が有名で、聴き比べても違いは分からないのですが、私はベルリン・フィル版が好きです。
好きな曲なので、他の演奏もいくつも聴いてはいるものの、自分がどういう演奏が好みなのかが、未だにまったく分かりません。。
そんな中で、こちらベイヌム先生のブラ1は、フルトヴェングラーより好き!です。
曲調的にもそれほど暑苦しくなりませんし、ベイヌム先生の演奏スタイル自体、ひたすらジェントルでスマートですから、きっとベートーヴェンよりも本来私はブラームスの方が落ち着いていて好きなんだろうな〜♪など、納得しようとしてみたり。。