クラシックの「帝王」カラヤン
「指揮者」といえば一般的には、やっぱりカラヤンの知名度がいちばん高いのではないでしょうか?
他のクラシック音楽家とは、比較にならないくらい有名なので、「アンチ・カラヤン」という表現も、カラヤンの人物像を知らなくてもなんとなく腑に落ちてしまうほどに。
およそ、「帝王」カラヤンに対する有名な批判は、以下のものかと思われます。
- ベルリン・フィルの首席指揮者になって以降、徹底的なライバル潰しを行った。
- とかく商才があった。演奏の評価はともかく、クラシック業界に富をもたらした。
- レパートリーは豊富だが、「カラヤンが広めた」と言える曲は皆無。
確かに、「成功した音楽家」であることは間違いがなくって、一方でカラヤンの遺した録音で愛聴するものが多いかと言われると、わたし自身、そんなにはないかな?「好きな指揮者ランキング」とかを自分の中で挙げてゆくと、とりあえずベスト20には入らないかな?という実感はあります。
ただ、別に嫌いな演奏家というわけではないです。マーラーの9番などはよく聴きますし、個人的な「カラヤンに対する印象」を述べさせていただくならば、以下のようなかんじになるかな?とおもいます。
- ライブよりも、「決定版」のレコードを作ることに重きを置いた。ある意味ビートルズ的音楽家?
- 時代的には「過渡期」の音楽家だったような。。同世代のバーンスタインが「マーラーブーム」を扇動する中、多分「フルトヴェングラーのアンチテーゼ」(颯爽としたトスカニーニ的スタイル)という潮流にうまく乗れた人なのかも?
- イケメン指揮者のひとりだともおもいます。…別にイケメンでなくても指揮者は「モテる」のですが、カラヤン、カルロ・マリア・ジュリーニ、カルロス・クライバー、サイモン・ラトルあたりは、まぁ、お顔がよりプラスに働いているとおもいます。(*^^*)
- 70年代と80年代のボックス・セットを持っていますが、70年代の方が人気曲が多く、そして印象が薄いです。
- 80年代ボックスは、世の中の人気に囚われず、自分の芸風に合ったレパートリーを取り上げているような。。演奏の中身も好きです♪
- 80年代ボックスでは「ハイドン」がやたらと目に付きます。…ハイドン自体、あまり聴く機会はありませんが、どこかでじっくりと取り組みたい。ハイドンの演奏から、カラヤンの「思惑」を読み取りたいです。
- 最後の録音「ブルックナー7番」は、最後ということもあり、繰り返し聴いています。まだあまり理解はできていませんが、繰り返し聴く価値のある演奏と、感じています。
最晩年のカラヤンは、こう言ったと伝えられています。
「私にはまだやりたいことがたくさんある。だから神は私に、新しい若い肉体を与える義務がある」
プロフェッショナルとして、自分のファンに伝わる言葉として、これ以上に嬉しい言葉はないとわたしはおもいます。…まだ存命ではあるけれども、「もう、創作意欲は失ってしまったのかな?」そう感じる大好きな芸術家は、わたしにもたくさんおりますので。
そもそもが「芸術家気質」は、商人魂といちばん遠いところにあるような印象もありますし、でもファンなんて身勝手なものですから、
「カラヤンは芸術家ではなく商売人だ!」
「クライバーは晩年、ほとんど指揮をしなくなってしまった!」
…自分でも思いますが、びっくりするくらい、わがままで理不尽ですね〜。^^;