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ジャ○ーズみたいにかっこいい(?)クラシック

クラシックのある生活♪

由紀レコオドで「トスカニーニ」という指揮者を教えてもらい、初めて「クラシックって聴いていて楽しい!」と感じるようになった私は、会社帰りなどに近くのターミナル駅でCDショップのクラシックコーナーを覗くようになりました。買わないけれど!

…それまでも、弾けも読めもしないピアノの楽譜を楽器屋さんで手に取ることはありましたが、今は紛いなりにも「トスカニーニ」というキーワードを入手し、「ああ、トスカニーニね♪」と、CDを見かけるたびにとりあえずしたり顔をする、「通ぶった人」になった実感を味わっておりました。

そういう目線でお店のクラシックCDを眺めてみると、本当にたくさんのアルバムが発売されています。…ただの1枚も売れないCDだって、あるに違いない。なにしろクラシックを聴く人なんて、極々限られているのだから。

…そんなことを当時は真面目に心配していました。

 

実のところ、再び由紀レコオドを訪ねようという気は、しばらく起きませんでした。

何しろ前回、一度に3枚ものCDを買ってしまったのです!

また気が向いたら行くかも知れないけれど、それが来年の5月になるのか、あるいはそのうち忘れてしまうものか。。確かに、自分がCDショップのクラシックコーナーに近づけるようになったことは嬉しかったです。

でも、それだって週に1回あるかないかです。

…心のどこかで由紀ママの「ジャ○ーズよりかっこいい」という表現が、ちょっと、違うかな?とも正直思っていました。。

再び由紀レコオドへ

結局、次に横浜に足が向いたのは、10月の爽やかな秋晴れの日曜日。

…正直すでに私の中のクラシック熱は冷めていました。地元の結構大きな図書館で、気になったクラシックのCDを借りて聴いたりはしたのですが、ほとんどが「リラックスできる」「退屈な」音楽でした。。

それで「もう十分!」という気持ちになったと同時に、由紀ママのセレクトはやっぱりすごいんだなと、憧れに似た思いも湧いてきました。

…なんの気なしに調べてみたとき、由紀レコオド界隈に至るルートは、JRの川崎駅と横浜駅の間であれば、どこで電車を降りても、歩いてもバスを使っても、20分前後の差しかないことが判明したのです!

クラシックはどうでもよかったけれども、私の中の「お散歩」魂に火がついた瞬間でした。

私が住んでいた、隣の駅で降りてバスに乗り換えました。…横浜市でバスに乗ったのも、このときが初めてでした。ちょっと緊張はしたものの、いちど駅から歩いたことを考えれば、ひとつふたつ停留所を乗り過ごしても気楽なものです。

がらがらとすすけたガラス戸を引いて「こんにちは」と由紀ママと目を合わせると、一瞬の間を置いてから「ああ、いらっしゃい!」と、私のことを思い出してくれたようです。

聴き比べ♪

「三回目だっけ?」

「いえ、二度目です。前回は5月ごろで。トスカニーニを教えていただいて」

勧められた丸椅子とコーヒーを頂戴して、しばらく世間話というか、他愛のない会話をひとしきりしたあと、こんなやり取りがありました。

「…ああ、あのときの子!じゃ、次はこれね」と言いながら、カウンターの影に積まれたCDの山の下の方から、1枚を抜き取りました。…思い出してくれてはいなかったみたい。

【エドゥアルド・ヴァン・ベイヌム&アムステルダム・コンセルトヘボウ:ドビュッシー ノクターン】

 

「…どう?」

2曲目の「祭り」が終わって、感想を聞かれました。

「ほんとうに、映画音楽みたいですねー」

確かに由紀ママのセレクトは、街の図書館とか、クラシック入門書とは違うんだな〜。とは、実感できました。指揮者の名前はまだ覚えられていませんでしたが、トスカニーニよりも「好き」かも知れません。…ただ、トスカニーニを初めて聴いたときのようなインパクトは、ないかな。。すると、

「クラシックはね、まず曲を覚えるの。そして、聴き比べをして初めて色々分かってくるのよ」

と、売り場から取り出した別の指揮者・オーケストラの「祭り」を聴かせてくれました。

「…確かに。。ぜんっぜん違いますね!!」

「ほらね!ベイヌムの演奏は、○○○○みたいにかっこいいでしょ〜♪」

 

「○○○○って、多分○○○○○○○○とかのメンバーの誰かなんだろうな〜」

と内心思いながら、何がそんなに違うのか?もう一度ベイヌム版「祭り」を聴きながら考えます。

曲のテンポとか音色とか、同じ曲の別の演奏だということは分かるのですが、違いを言葉にするのは、私にはものすごく難しいです。。

「比較用にかけたCDだって、本当はベイヌム版よりも有名な演奏なのよ。でも、そのよさはおいおい分かればよくって、今のあなたにはベイヌムの演奏の方が心地よく聴こえるはずなのね。そして」

ひと呼吸置いてから、由紀ママは続けました。

「好みは変化していくだろうけれども、どちらの演奏も、一生楽しめる。そういう価値のあるものだから」

怪しい料金体系。。

この日のお代は、「2,200円だけ」。

「こっち(買わなかった比較用CD)を教材用に開けちゃったから」とのこと。

家に帰ってCDの定価を見たら、1,200円でした。orz

…いえ。不満はないんですけど、いったい、どういう商売なのだろう。。

ちなみにこの日、比較用に聴かせていただいたCDはこちらです。

【ピエール・ブーレーズ&ニュー・フィルハーモニア:ドビュッシー管弦楽曲集】

…ブーレーズ(1925-2016)は、、未だ私には理解できない音楽家なのですが、「22世紀の耳」と呼ばれるほど耳がよい方らしく、また、作曲家としても有名です。いつか、この人の時代が来るのかな?と、iPhoneで定期的に聴くようにしています。。

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