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クラシック花言葉 – ちょっとやんちゃで可愛らしい

マーラー交響曲第4番

…やや怪しい感じの笛の音が、小さな男の子が植え込みから飛び出してきたみたいに聞こえます。続いて優雅なバイオリンの音が追いかけてくる。まるで若いお母さんのようです。

【ウィレム・メンゲルベルク:マーラー交響曲第4番】(1939)

演奏時間は60分弱。季節は、ちょっと肌寒い春先。満開の桜そのものではないけれども、同じ季節に、より地面に近いところでひっそりと咲く花。決して地味ではなく。色は黄色かな?

マーラーとの「出会い」

マーラーの曲は、それと出会ったときの年齢が、大きく好みに左右されると言われています。

若い時分にマーラーを聴き始めた人は、1番から3番を愛聴し、大人になってから聴き始めた人は、5番以降を好むそうです。

…その間に挟まれた4番は、一番最初に私のお気に入りとなったマーラー作品です。1番〜3番は、正直乱暴というか、何をやっているのかよく分からず、今聴いてもやっぱり「いいな♪」と感じることは少ないです。。

人気曲として挙げられるのは、映画「ベニスに死す」で使われた5番と、ベートーヴェンの「第九」の座を奪い取った感すらある「彼岸の曲」9番が双璧でしょう。

私が最近、一番よく聴くのは5番です。9番はCD2枚組のものがほとんどで、また、死の淵に佇んで振り返った人生がすべて美しく見える、みたいな曲調に浸るにはそれなりに心構えも必要で、気軽に聴くことは難しいです。

複雑怪奇な5番は、ぎりぎりCD1枚に収まることもあり、忙しい現代人にとって謎の共感を生むのでは?とも感じます。

マーラー2番専門指揮者

もちろん、他の曲が評価されていない、ということはなくって、ひとつ面白いお話があります。「マーラー2番専門の指揮者」です。ギルバート・キャプラン(1941-2016)という人です。

出版業界で成功した実業家だそうですが、若い頃からマーラー2番「復活」をこよなく愛し、アマチュアとしてプロの指揮者に師事して「復活」の指揮だけを学び、CDを発売。

最初は散々言われたそうですが、これが「意外なことに素晴らしい!」と評価され、ついにはウィーン・フィルと演奏するに至るという「サクセス・ストーリー」です♪

【ギルバート・キャプラン&VPO:マーラー 交響曲第2番「復活」】(2002)

再び、マーラー4番

マーラー4番はレストランなどで、もっともっと使われてよいクラシックの曲だと私は思います。

ヴィヴァルディの「四季」や、モーツァルトなどはよく流れているイメージがありますが、おそらくこれは、「精神の人」ベートーヴェンより以前、という不思議な「お約束」があるように感じます。

…確かにベートーヴェンの曲は、自由意志の尊重といいますか、それまでのクラシックの曲にはない力強さ、耳障りさを厭わない主張があります。そしてその「意思」は、とても強靭で一途なものです。

マーラーの曲は、ベートーヴェン以上に「耳障り」に、当時の聴衆には聞こえたようです。これは、ベートーヴェンの「一途さ」と比して、先に謎の共感と書きましたが、「迷ったり苦しんだり喜んだり」と、自分の中に多面性を認めていると解釈してよいと思います。

有名なベートーヴェンの交響曲第6番「田園」を聴いていると私などは、その純朴さに憧れはするものの、「こんなに人間、単純ではいられないです。。」と、悲しい気持ちにさえなります。

ですので、ここで取り上げているマーラーの4番は、やんちゃな子供をイメージさせるとはいえ、それは19世紀の昔話ではなく、現代日本の子供たちです。

この情報化社会の中で、表情豊かに育っていく子供。「うちの子、もしかして発達障害なのかしら。。」みたいな不安を抱かせる感じの曲調も現れますが、最後はソプラノの楽しげな歌が始まり、静かに終わります。

…という意味で、オススメのCDはこちらになります。

【バーンスタイン&VPO:マーラー交響曲第4番】(1987)

こちらの歌い手は珍しいことに、ボーイ・ソプラノなんですね。

最初の頃は、私もそれに違和感を感じていたのですが、色々な「マーラー4番」を聴いて印象が定まってくるにつれ、「ボーイ・ソプラノがいい!」と感じるようになりました。

バーンスタインのマーラーは、まずもって外れのない、ベーシックかつ一級品です。

こんな演奏がカフェで流れてきたら本当、たまりません♪

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