河瀨直美監督が東京オリンピック公式映画監督に選ばれました
先日「森の映画祭」という、ツインリンクもてぎの敷地内で、夕方6時半から朝方5時まで映画を流し続けるというイベントに参加してきました。
有名どころの長編映画もありましたが、私はひたすら短編映画ばかりを見て回りました。(ほんとうに歩くだけで大変なイベントでした。。)
長くても30分、短いもので6分という、とてもちいさな作品たちでしたが、はっとしたのは、映画のエンドロールです。「制作協力」とか、商業映画を観ていると当たり前のように流れるものが、この日の多くの映画に存在せず、
「本当に自費で映画を作っているんだ」
と、感慨深くなりました。
その中の、「玉手箱」(監督:渡猛)という作品に出てくる女性映画監督役の女優さんが、誰にも賛同してもらえないやもしれませんが河瀨直美そっくりで、ひそかににやりとしてしまいました♪
萌の朱雀
河瀨直美(1969-)は、萌の朱雀(1997)という作品で海外の映画祭の新人賞を獲得し、一部でものすごく話題になりました。
…ですがごく一部で騒がれただけだったので、DVDソフトが出るまでに10年近くを要しました。
当時地元の中学生だった主演女優尾野真千子(1981-)も、NHKのドラマなどで活躍してはいますが、彼女のデビュー作である「萌の朱雀」をご覧になられた方は、日本でも少数派なのではないかと、実は心配しております。。
【河瀨直美:萌の朱雀】
アマゾンの評価も「???」というものですが、ひと言で申し上げますと「山の静けさ」を存分に湛えた映画で、
「ストーリーがよく分からなくても、まあ大丈夫!」
というタイプの作品です。
先の映画祭でも、これをオマージュとするような作品をいくつも見かけました。
「こういう映画を作ってもいいんだ!」
という勇気を、新しい世代の映像作家さんたちに与えた一作かな?と、以前からおもっています。
とにかく、「マスコミで取り上げられる」というのは商機であると同時に、作品としても多くの人に知られる機会にもなりますので、ぜひぜひBlu-ray化していただきたいと、強く願っております♪
萌の朱雀という作品に対する愛!
数えきれないくらい、私はこの作品を自宅で観ています。
一見低予算映画っぽくはあるのですが、この作品の特長のひとつである「映像美」は、長らくNHKで活躍された撮影監督の手腕によるところが大きいらしく、当時この作品と若手監督に予算をつけた制作会社の慧眼が讃えられます。
また、エンディング近くでカメラがとある人物を俯瞰で映し、そのままカメラが宙へと浮かんでいくようなシーンは、ちゃんとした撮影機材がないと撮れないものらしく(ハリウッド映画で、カーアクションを真横から撮るためにレールを敷いてカメラを走らせるみたいなもの?)、決して「低予算映画」ではないようです。
30分どころか、90分を超える立派な「長編作品」でもあります。
あらすじは、いちおうありますが、全員がもごもごと奈良県吉野村の言葉で話すこともあり、初見ではなにも分からないとおもいます。。
途中で流れる8ミリカメラの映像も、二、三度観ないと意味不明やもしれません。。
BGMも、劇中レコードで掛かる音楽がほぼ唯一です。
…と、本当に「抑制の効いた」(効きすぎた)映画です。
でも、「ここに行ってみたい!!」と心から感じさせてくれる雰囲気を持った作品です♪
美しい風景と、それが美しいが故に抱える(主に経済的な)問題は、郷里を持つ日本人であれば、多くの方がはっとさせられるのではないでしょうか。
当時プロの女優ではなかった、尾野真千子演じる主人公の演技(立ち居振る舞い)もみずみずしく、他の出演者もほとんどが「現地採用」だったそうですが、その素人っぽさが魅力になっています。
…などと色々語りたいことはありますが、私などがなにもしなくとも、間もなく衆目を集めることになるでしょう♪
きっと地上波などでも放送され、「東京オリンピック公式監督の出世作」として、新たなファンを獲得するであろうこと。
そして豪華な映像ソフトが、便乗商法で世に出ること!
楽しみでなりません♪