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グザヴィエ・ドラン トム・アット・ザ・ファーム – 「本気」の前後にあるものたち

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「僕たちは、愛し方を学ぶ前に、嘘のつきかたを覚えた」

グザヴィエ・ドラン(写真のイケメン)は、1989年カナダ生まれの若き映画監督であり、作品「トム・アット・ザ・ファーム」では主演も務め、そして自身がゲイであることを公表しています。

 

愛し方を学ぶ前に嘘のつきかたを学ぶ、という文句は実はドラン自身の言葉ではなく、この「トム・アット・ザ・ファーム」の原作である戯曲からの引用のようですが、非常に分かりやすく、この作品の根幹を貫くテーマとなっています。

 

…私自身は、同性愛であれ異性愛であれ、時代云々あるいは多様性の問題は本質ではなくって、次のようにおもっています。すなわち、

  • すべての恋愛のトリガーは、冗談から始まる(冗談期)
  • それが成就してはじめて冗談が本気になる(本気期)
  • 周囲の後押しなど、自分たちの気持ちだけではどうしようもないところで、それが真剣さに変わる(真剣期)

こんなふうに。

…だって、フラれるのって、怖いじゃないですかっ!!

フラれたあとで、惨めな自分を笑い飛ばさずにいられる自信は、私にはありません。。もちろん、最初っから本気だけれど、でも、自分の中のそれを冗談めかす気持ち、自分を信じきれない思いが常にあって、ふらふらしていて、そして、そんな「本気」に自分をまるごとぼてっと委ねることができるのは、両思いであることが確認できて、それからです。

そしていわゆるラブラブ(ハート♪)な期間が始まるわけですけれども、恋愛が恋愛として続くのか、結婚など、別のステージに進むのか、…それとも解消されてしまうのかは、別段恋愛固有ではない人間関係のひとつの模様だと思います。

それでも、特に我が国では「適齢期」なる恐怖のコトバが一般化しておりますので、異性愛の場合、周囲が無理にでも後押しするケースは多々あると思いますし、たとえば「お見合い」という制度の中では、「冗談」と「本気」のフェーズをもの凄くシステマティックに洗練させて、一気に真剣期に持っていこう!という力が大きく働くのだと推察されます。

 

同性愛・異性愛を問わず最近の「熱愛報道」(?)について私が感じるのは、「みなさん、プライドが高いな〜」という嫉妬です。トムのような「いじらしさ」を払拭しきった上で、クローゼットからカミング・アウトしていらっしゃる。

成就しなかった片想いを、みんななかったことにしている。きっと、例外なく誰にとっても、実らなかった恋の方が思い出深いのに。

本気になりきれない葛藤は、同性愛も異性愛も変わらない(違うのだろうか?)はずなのに、「私たち、本気です!」というところから先をしか、報道もカミング・アウトもされないから(私の知る限りお一人だけ、確か声優さんが、すごく勇気あることをおっしゃっていたような。。)、勇気と恋愛力のある限られた人たちによって、同性愛も社会認知されつつある、的な論調が強まっては来ていますが。。

もちろん、それが異性愛と同等に社会認知される必要はあると思いますが、でも、

  • 同性愛にせよ異性愛にせよ、恋愛って秘め事の要素がたいせつでは?

ないでしょうか。このデリケートなテーマについてより注目されるべきは、本気期ではなくって冗談期についてだと思います。

同性愛にとっての真剣期は確かに、社会的な受け皿が十分とは言えません。…ただ歴史的には、日本で言うところの男性の衆道や、古代ギリシャの「愛する美少年」(by ソクラテス)に限らず、あまり詳しくはありませんがイスラム社会の姉妹婚など、「秘め事」としての(異性愛との)バランスを保った恋愛のシステムは、それなりに存在していた痕跡があります。

 

本気期から真剣期への移行は、人類の繁栄のためなどの「個」の問題に留まらない需要があります。…当事者二人の気持ちはともあれ、きっと誰だって「孫は抱きたい」ものでしょう。その「真剣さ」の部分をどう、同性愛の中で必要性を喚起すべきか?ということになると、多分、多分ですが、

  • 必要はない。

が結論ではないかと、僭越ながら愚察申し上げます。

理由は、同性愛はやはり純愛であって、異性婚と同等に社会的な認知と権利と義務と束縛を与えられたところで、それは子持ち離婚以上の社会問題をしか産まないのでは?という推測からです。(必要なことは、単純な「認知」「非認知」の問題ではなく、多分「スコープ」の概念です。スコープについては、別のブログ記事で取り上げたいとおもいます)

 

恋愛は、基本秘め事でいいんだ。

傷ついて、その上痛めつけられてボロボロになるくらいなら、美しい想い出のままにしておきたい。(でも、うまくいったら超嬉しい!でもやっぱり怖い。。)

そんなふうに考えるのは、時代に逆行しているでしょうか?

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